はじめに
昨日までJaSST Tokyoに参加してきたが、その中でテクノロジーセッションがいくつもあった。
テクノロジーセッションは実質的にはスポンサーセッションのことであり、
正直言って、テクノロジーセッションがいくつもあるJaSST Tokyoに対して複雑な気持ちであった。
しかし、実際に参加してみると、私が参加したセッションはすべて技術的な知見が多く含まれた内容で、
学びがたくさんある良いセッションばかりであった。
「テクノロジーセッションが嫌だ」と思っていた自分に対して、考えを改めるとともに、
それぞれのセッションがどういった点で優れたいたかを残すために、「テクノロジーセッションレポート」という形で記す。
スケールアップ企業のQA組織のバリューを最大限に引き出すための取り組み
平田氏は昨年にQAマネージャーとして参加して、さまざまな組織化の施策を行った。 発表の中では紹介されなかったが、QA組織の立ち上げについて、平田氏は経験が豊富で、平田氏の取り組みや初動の動きは参考になるものばかりであった。
新しい会社に参加したばかりだと、周りが見えるまで動かない人は少なくないと考える。 そうした中で平田氏は、自分が取り組むべきミッションを明確に見定めて、自分が言語化すべきことから逃げずに言語化して信頼を勝ち取った様子が想像できた。
平田氏の組織化の活動の具体例は私の今後の業務にも参考にできるものばかりで、学びの多いセッションであった。
Agile TPIを活用した品質改善事例
Sogeti社が提供する、TPIというテストプロセス改善技術をAgileに適用したものがAgile TPI NEXTである。
このセッションでは一年以上の時間をかけて、断続的にTPI NEXTを実施している様子が紹介され、まさにこれがTPIのキモであるデミングサイクルに基づくものだと思った。
私はTPIの専門家ではあるが、Agile TPIについては理解が浅く、これを使用するのに二の足を踏んでいた。
これを機会にAgile TPIについて再検討していきたいと考えた。
何よりTPIを扱う人間として、JaSST Tokyoで取り上げられたことを嬉しく思った。
ソフトウェア開発現代史:なぜ日本のソフトウェア開発は「滝」なのか?製造業の成功体験とのギャップ
タイトルを見て、ウォーターフォールを揶揄するようなものではないかと思っていたが、実際には違った。
日本の製造業を支えたTQCの成立について、事実をベースに語り、ソフトウェア開発の課題について議論したものである。
JaSSTの場でこういった日本的品質管理について語られるのは大変意義あることであるし、
さまざまな人に聴講してほしい内容だと感じた。
「舞踏会」が加速させる「知識の宴」— アジャイル思考で学びのサイクルを回し、継続的に進化する勉強会
大阪の会社であるにもかかわらず、JaSST Tokyoでもスポンサーを出していることが尊いと思った。
現場の課題から、勉強会の必要性に気づき、さまざまな試行錯誤を素朴な言葉を使って表現している姿に共感を覚えた。
このセッションで紹介される学習リソースや取り組みは、無料でできたり簡単にできるものなので、
そこから学ぶための具体的な考え方やプラクティスが提示されることは意義深いものであったと思う。
大阪でも舞踏会や知識の宴が公開され、より大阪を盛り上げることを期待している。
テストをどこまでやるの?価値とリスクから読み取りコンセンサスを得るための方法
登壇された吉川氏は「アジャイルやAIがなく、映えがないセッション」と言っていたが、
私は誠実に技術や課題と向き合い、バズワードに逃げない誠実なセッションだと感じた。
「テストの価値」というものを追求して、リスクや製品の価値を紐づけて、それを定量的に判定するという試みは、 ベリサーブ社でこれまで取り扱ってきたさまざまな研究とつながるものであると感じ、興味深かった。
今回取り上げた取り組みは、SigSQAで言われている「納得感の共感」や、ISTQBの「リスクベースドテスト」、プロダクトマネジメントの価値提供を繋げて、ソフトウェア開発を次のステージに上げうる価値の高い取り組みだと感じた。
私に権力があれば発注して、一緒に研究したいのだが、それができないのが本当に悔しい。
ベリサーブ社にはぜひ、できるだけの投資をおこなってサービス化してほしいと強く思った。
今後の発展に期待し、可能であれば協力を惜しみたくないと考えた。
おわりに
今回のテクノロジーセッションは、「技術的価値のある内容」を体現した素晴らしいものばかりであったと思う。
少なくとも私はこれらを発表するスポンサーを深く尊敬するし、良い印象を持った。