現在、ふりかえりカンファレンス2025の資料を作っています。
そんな中で、私の人生を好転させたきっかけもまた「ふりかえり」だったなあということで、ふりかえりにまつわる自分語りをしていきたいと思います。
残業と閉塞感の新人時代
エンジニア1年目の現場は、今考えると決して良い環境とは言えませんでした。
周囲の方々には恵まれていましたが、タスクの受け渡しや仕事の進め方は未熟で、標準化や教育が不十分なまま複雑な業務を任される状況でした。
その結果、多くの人が疲弊し、あらゆる人があらゆる人に迷惑をかける事態が頻発し、残業が常態化していました。
毎日朝8時から夜8時まで働くのが当たり前で、夜10時まで残業すれば「まあまあ頑張ったね」と労われるような環境でした。
当時の私は、「この状況をどうにかしたい」と強く思っていました。
それは、この現場への不満ということもありましたが、むしろ当時流行していたキラキラしたIT業界の働き方への憧れでした。
「こんな綺麗なオフィスで、ホワイトな環境で、いい仕事をしていきたい」と夢見ていたのです。
そんな気持ちが現場へのフラストレーションとして変化していました。
そんな時に出会ったのが、「ふりかえり」でした。
ふりかえりとの出会いと再会
ふりかえりという言葉を最初に知ったのは、エンジニアになる前の営業時代に読んだ自己啓発書でした。KPTなどの手法を知り、ふりかえりという概念があることを知りました。
新人研修でもふりかえりを学んだ記憶がありますが、当時は反省や失敗の言語化といった、ふりかえりの難しい側面にばかり目を向けていたように思います。
その後、現場での仕事と残業に忙殺される中で、ふりかえりのことをすっかり忘れていました。
しかし、ある日、一念発起して会社のテックリードに現状を相談した際、「ふりかえりをすると良いのではないでしょうか」と提案されたのです。
ふりかえりの実践と効果
最初は戸惑いもありましたが、言われた通りにふりかえりを始めました。
当時の私にとって、低い身分の自分が改善提案をする事は大変勇気のいる行動でしたが、お客様の担当者が「やってみましょう」と言ってくれた時、なにかが動き出したと感じました。
最初のふりかえりは見よう見まねで、様々な問題点や不満が噴出しました。
しかし、ふりかえりを行うことで、漫然と業務を行ってきたのではなく、メンバーが業務の問題点を認識していたことに気づきました。
ふりかえりを通して、問題が明確になり、本当に対処すべきものが見えてきたのでした。
このふりかえりは毎週行い、継続していった結果、少しづつですが目の前の問題を改善したり、他チームと協力して解決したりできるようになりました。
具体的な要因は分かりませんが、業務時間や負荷が明らかに減り、定時で帰れる日が増えました。
その中で、自分のスキルアップにも繋がったり、品質に関する指標も改善されました。
ふりかえりを通して、改善のきっかけを作るだけで、業務が良くなることを実感しました。
そして何より、エンジニアとしての初めての実績であり、今でも誇れる成功体験となったのでした。
ふりかえりと品質保証
ふりかえりを学ぶ中で、現場のチーム内だけでなく、自分が主催する勉強会などでもふりかえりを実践していきました。
そして、ネットでふりかえりに関する情報を探すうちに、多くの実践家がいることを知りました。
びばさんが書いている同人誌にも目を通したりして、自分の中のふりかえりに対する思いを育てていきまいした。
また、品質保証について学ぶ中で、ソフトウェア開発において、チームのモチベーションやコミュニケーションが重要であり、それがプロセス品質、製品品質に繋がるという考え方に触れました。
私は、品質保証の手段として、テストやソフトウェア設計やプロジェクトマネジメントだけでなく、チームワーク向上のためのふりかえりが有効だと考えるようになりました。
カンファレンスに向けて
今回、ふりかえりカンファレンス2025で発表する機会を頂きました。
この場では、私が学んだ品質保証とふりかえりの関連性についてお話したいと考えています。これは、自身の学びの整理であると共に、ふりかえりのコミュニティへのほんの少しの恩返しという気持ちで考えています。
過去の私は、誰かに言われた通りに漫然とふりかえりを行っていました。
ふりかえりは強力なプラクティスなので、それだけでもうまく回ることは多いです。
しかし私は、品質保証という目的意識を持ってふりかえる事で、より良い結果が得られることを伝えたいです。
このセッションを通して、参加者の皆様がふりかえりに新たな意味や価値を見出すきっかけになれば幸いです。
タチカエリというテーマに
今回のテーマは「タチカエリ」です。
これは、ふりかえりを通して、改めて自分自身や業務、あるいは考え方などを再認識すると言う意味合いを込めていると思っています。
私は今回、QAエンジニアとして、「品質保証」に立ち返ります。品質保証とふりかえりには共通点があるという視点でお話します。
しかし、発表資料を作成する過程で、その考えは必ずしも真実ではないと感じました。
「ふりかえり」という手法を改めて深く考えてみたとき、そこには人それぞれの核となる価値観や信念があり、それがふりかえりの本質を形作っているのだと思いました。
タチカエリ先は人それぞれ異なるものだと思います。
立ち返った先にあるものに気づくことで、ふりかえりはさらに深みを増し、新たな視点や価値観を得ることができるのだと思います。
